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「任期の取り組みに浮沈かかる」 JA全中、中家徹新会長を選任

2017年08月10日

 全国農業協同組合中央会(JA全中)は10日、都内で臨時総会を開き、新会長にJA和歌山中央会の中家徹会長を正式に選任した。任期は2020年8月まで。日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の大枠合意や18年産米の生産調整(減反)の廃止などで、農業政策が転機を迎える中、新会長には成長産業化に向けた対策の具体化が求められる。

 中家氏は記者会見で「農業、農村を元気にするのが最大の目的。思いは政府も同じ。政府与党とは話し合いをしていく」と対話路線を強調。一方で「農協は総合事業経営体が理想の形」と、金融事業を切り離す政府の規制改革推進会議の急進的な提言にはクギを刺した。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の妥結や日欧EPAの大枠合意で、輸出を見据えた農業の競争力の強化は待ったなしだ。国内でも、18年産米から生産調整(減反)が廃止され、農家は個々の販売力に合わせた生産を行うことができる。

 農協改革で、JA全中は19年9月から一般社団法人への移行し、各農協は経営の自由度が高まる。

 中家氏は「任期での取り組みにJAグループの浮沈がかかっている」と述べ、各農協の自主改革の完遂を第1の目標に掲げる。農業者の創意工夫を促す具体策を実現できるか、新会長の実行力を問う試金石となりそうだ。

 目指すは農業の必殺仕事人 JA全中会長 中家徹氏

 2度目の挑戦で、全国農業協同組合中央会(JA全中)の会長に就任した。

 理想の会長像を問われ、「『暴れん坊将軍』や『水戸黄門』より、『必殺仕事人』が好き」と答えた。権力で上からねじ伏せるより、陰ながら仕事をやり遂げ人助けする。それが農協の仕事だとの思いがある。

 念頭にあるのは、JA組織の抜本改革を求めた政府の規制改革推進会議だ。農協から金融事業を分離するなど、農協を解体する提言は「農業や農村を元気にする協同組合の目的にそぐわない」と切って捨て、「実情を無視した提言には毅(き)然(ぜん)として対(たい)峙(じ)する」と語気を強める。

 とはいえ、農村の現状は「過疎化が進み、疲弊している」。改革の必要性を「農業は地方創生にも大きな役割を持つ」と語る。

 2年前の会長選では守旧派イメージを拭いきれず改革を前面に押し出した奥野長衛・前会長に敗れたが、奥野体制では理事の立場で改革に協力し、新会長としても基本路線を引き続く。

 日本有数の梅産地である和歌山県田辺市の出身。実家はミカンやウメを栽培する果樹農家だ。JAグループの専修学校「中央協同組合学園」の第1期生として卒業後、組合活動に身を置いた。昭和50年代の日米貿易摩擦では、オレンジ自由化で打撃を受けるみかん農家を守るため当時好調だった梅への転作を説得した。

 「農協の仕事は農家を支えること。辞めてはいけない」。30代で実家の農業に専念するか迷ったときの父の言葉が忘れられない。農業を未来ある産業へ生まれ変わらせるため、改革をやり遂げる仕事人を目指す。 (高木克聡)