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「モダニズム」発信 沿線活性  阪神電鉄 神戸・西宮・芦屋市と連携事業

2018年03月09日


明治後期~昭和初期にかけて大阪―神戸間で花開いた西洋風の生活文化「阪神間モダニズム」を街の魅力として活用しようと、阪神電気鉄道が兵庫県の神戸、芦屋、西宮の3市と連携事業を進めている。ブランド発信協議会を発足させ、第1弾として「洋菓子」がテーマの事業をスタート。阪神沿線の洋菓子店をめぐるスタンプラリーや阪神間モダニズム建築での関連イベントを実施している。イベントには定員を上回る参加希望が殺到するなど、早くもにぎわいをみせている。

 第1弾テーマ洋菓子

 芦屋市の近代建築「芦屋モノリス」で2月25日に開かれたイベント「レトロティーパーティ&フォトセッション」には、女性同士やカップルなど抽選で選ばれた30人以上が参加した。シュークリームやチーズケーキなど5種類のスイーツと、コーヒー、紅茶を満喫し、通常はなかなか入ることができない館内の見学と撮影も楽しんだ。

 芦屋モノリスは旧芦屋郵便局の電話事務室として1929年に建設された。外壁には1、2階で違う色のタイルが貼られ、1階の回廊には半円アーチ形の窓があしらわれている。現在はレストランや結婚式場として使われており、増改築を行いながらも新築当時の外観を残し、国の登録有形文化財に指定されている。姉妹で訪れたという同市の会社員、柳谷佳那さん()は「市内にこんなすてきな場所があったなんて」と喜び、回廊などを撮影して回った。

 阪神間モダニズムが発展した兵庫県南西部は旧国鉄や阪神、阪急電鉄が沿線を開発。大阪の富裕層が洋風の住居を建てて移り住んだことで住宅地として発展し、建築や文学、芸術にも影響した。この地域は現在も関西有数の高級住宅地で、西洋風の生活文化が定着し、多くの洋菓子店が競合する。

 阪神によるスタンプラリーは2月20日に始まった。沿線を利用してもらおうと、3月25日までの期間、人気洋菓子店24店舗で買い物をするごとにスタンプがもらえる。全店制覇すれば芦屋モノリスでの1万円相当のディナー券がプレゼント(抽選)されるなどの特典もある。スタンプブックは3万部を印刷。ポスターは県外にも貼りだして沿線外からの訪問も当て込む。

 魅力的な近代建築

 近代建築でのイベントは芦屋モノリス以外にも、1933年に白鶴酒造創業家からの寄付で建てられた御影公会堂(神戸市東灘区)や、旧甲子園ホテルとして年に建築された武庫川女子大甲子園会館(西宮市)などでティーパーティーや撮影会が開かれ、定員を超える参加希望が集まっている。

 阪神によると、ここ数年の都心回帰の影響で大阪中心部へのアクセスが良い阪神間地域の人気が高まり、沿線利用者が増加傾向という。庶民的なイメージが強い阪神沿線だが、近代建築や人気の洋菓子店を生かして、さらなる利用者の増加と定着を狙っている。連携する自治体側も「市の魅力を知ってもらういい機会になる」(芦屋市)と歓迎する。

 阪神はこれまでも街の魅力をアピールする取り組みを進めてきた。昨年からは神戸、西宮両市と連携して、日本一の酒どころとされる「灘五郷」の活性化プロジェクトを実施。ラッピング電車を走らせたり、神戸市内で酒をからめたグルメイベントを開いたりしている。酒造メーカーの蔵開きへの参加者が増加するなど、さっそく効果が出ているという。

 阪神と3市はさらなる沿線活性化に向けて第2弾の事業の検討を進めている。阪神間モダニズムの影響で発展した文学や芸術を取り入れることなどを想定しているという。

  (岡本祐大)